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deep stopのお話

FacebookのTLを眺めていたら確かPhilippinesでTechやってる方から以下投稿のshareが流れてきたのですが、今回はこれについて内容の要約とかblog主の感想など交え少し書いてみたいと思います。
「Deep Stops: Changing the Ascent Strategy」
これはPrecision Divingの Duane Johnsonさんによる投稿。

そもそもディープストップ(実際は浮上途中に何度か停止するので英語ではdeep stopsと複数形にしてます)とは何かということで、先ずはdeep stopの歴史から。
最初にdeep stopの有効性を明らかにしたのはRichard Pyleさんという魚類学者の方みたいでして、それ故、deep stopはしばしばPyle stopとも呼ばれるとの由(これは知りませんでした)。
てか、Pyle stopなんて言葉が書いてある記事や論文はこれまで見たことないし…)。
このPyleさん、いわゆる「魚オタク」として有名らしく、科学的研究のためリーフの深いとことろにいる魚を取集しまくっていた。ある時そうした作業中において、浮上する際に彼が減圧停止する前に捕獲した魚の浮き袋が破裂しないよう圧平衡のため何度か停止した。彼はこうすることで潜水終了後の気分がこうした何度かの停止をしなかった場合と比べよくなることに気付いた。それ以来、彼は浮上時に最初の減圧停止位置より深い水深において何度か停止するようになったということらしく、どうやらこれがdeep stopのはしりのようで。
Pyleさんってどんな人?と思いグーグったところ、10年くらい前にTED talkに登場しているのを以下URLにて見つけました。うーーん、早口。(笑)
RichardPyle.jpg
「Richard Pyle: A dive into the reef's Twilight Zone」
同じ「魚オタク」なら、日本の「さかなくん」みたいに何か面白い魚系の帽子を被って欲しかったです(実はさなかくんと知り合いだったりして)。ww

deep stopとは必須の停止(減圧停止とか安全停止)の前に実行する一連の浮上停止のこと。
投稿したJohnsonさんによれば、目安として自分は60ft(18m)より深く潜るときはいつもdeep stopを実行しているとか。リクリエーショナルダイバーなら最大水深の半分の水深で一回30秒のdeep stop、その後30秒かけて10ft(3m)浮上する、を繰り返して安全停止の水深まで浮上していく。Techダイバーの場合は最大水深の75%(3/4)の水深からdeep stopを開始する。その後同様に10ft(3m)を30秒かけて浮上するのを最初の減圧停止の水深まで繰り返す。これはTechダイバーの方がより組織へ不活性ガスが溶け込んでいることによる。
一例としてリクリエーショナルダイバーが100ft(30m)に潜る場合は以下の通り。

  ↓100ft(30m)から浮上開始
 1st deep stop  50ft(15m)で30秒
  ↓30秒かけて浮上
 2nd deep stop  40ft(12m)で30秒
  ↓30秒かけて浮上
 3rd deep stop  30ft(9m)で30秒
  ↓30秒かけて浮上
 safety stop(安全停止) 20ft(6m)で3分
  ↓3分かけて海面まで浮上 ※この3分というのはご存じの通り圧力変化がそれまでより格段に大きいのでよりゆっくり浮上するということ。

以上のように、リクリエーショナルダイバーはdeep stopとsafety stopを組み合わせ(両方のいいとこどりをして)浮上速度を意識的にゆっくりコントロールとすることでより安全な(DCSリスクをより小さくする)ダイビングができる。NDL(no decompression limits)に達していなければdeep stopはおろかsafety stopも不要ではという話もあるかも知れないが、個々のダイバーの体調が完璧な状態にあるということはまずあり得ないので、こうしたコンサバな浮上戦略をとることで平均的健康状態のダイバーのDCSリスクをより小さくできるという主張です。
Johnsonさんは別の投稿でこれに関連するらしいdissolved gasとfree phase gasのモデルについて語っているらしいのですが、そちらはまた別の機会と言うことで。

blog主はこのdeep stopに関する上記のような内容については以前から知ってはいたものの、生理学的もしくはガス動態的に明確な根拠を説明したのを見たことが無くて、効果は無いという反対の主張もあるようだし(deep stopすればそれだけ多く不活性ガスが組織に吸収される訳だし)、いまいちすっきりはしていないんですよねぇ(モデルの数式や臨床データを示してくれればなるほどとなるんですけど)。でもよりコンサバで良さ気な感じではあります。それに市販のダイコンでもdeep stopを指示してくれるタイプのものも少なからずありますしね(私のMares Nemo Sportもその類の機能があります)。
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tag : ダイビング DCS ディープストップ 安全停止 減圧停止 浮上速度

コメント

No title

パイルズ・ストップスは、テックダイビングの世界では、ごくしられたエピソードです。マーク・ポウェルのDeco for Diver にのっています。この本はグラディエントファクターを一般のダイバーに向けて書いた最初のテキストだとおもいます。中味はエリック・ベーカーのUnderstanding of M-valueの引用ですが。仕方ありませんベーカーが提唱者ですから。Mのhighとlowは、こう考えれば簡単です。High はMの最大値を小さく見積もることでリスクを減じ、lowは周囲圧を大きく見積もることで(low線=周囲圧プラスアルファ)、浮上による排出の効果をコンサバティブに考えることです。、両方を合わせると安全率が増すという考え方です。極端な言い方をするとhighは蓄積、low は排出のファクターと言えるかもしれません。釈迦に説法かもしれませんが。

re: No title

やどかりさん、
コメントありがとうございます。

Erik C. Bakerさんの「Understanding M-Values」っていうのはその道の方々にはよく知られた資料なんですかね? 以前この資料をインターネット上で見つけた時は内容がとてもすばらしく勉強になりました(残念ながら日本語ではこういうレベルのものは見つけられませんでしたが・・・)。

>High はMの最大値を小さく見積もることでリスクを減じ、lowは周囲圧
>を大きく見積もることで(low線=周囲圧プラスアルファ)、浮上による
>排出の効果をコンサバティブに考える

なるほど、おっしゃるように考えると感覚的に分かりやすいですね。

おひさしぶり

おひさしぶりです。

前回の補足です。DEEP STOPはいわゆる気泡理論、溶解のある限界圧力を越えると気泡が形成される(越えないとしない)というM値理論とはまるで違っていて、もともと気泡は存在していて、その気泡に組織に溶解していたガスが、減圧時にその気泡に吸収されて、気泡が成長する。溶解理論はぎりぎりのシャロー深度まで浮上して(し-りんぐですね)ガス圧を下げる。いっぽうすでにできている気泡なんだからできるだけ、圧力変化を与えないように浮上するという、まるで正反対の仮説であります。結果的に深いところでストップしたほうがよかろうという仮説があったところに、パイルという型破りなダイバーが、自らの勝手な経験を公表して、このスタイルにテク系のダイバーが飛びつきます。その試みと溶解理論のシャロ―ストップの、恐る恐るの妥協案が、1回だけのDEEP STOPのようです。ほとんど実験的な検証がありません。ベーカーのGFはそのディープストップを、溶解理論のM値から強引に理論づけしようという試みです。”M値を理解する”の後に”ディープストップの混乱を払拭する”といった文章も書いています。最近何処かのお馬鹿さんが、深いところでストップすれば、ガス圧が高まる、ディープストップは疑問だなんて、あるサイトに書いていましたが、当たり前です。ディープストップはシャロ―ストップの深い版ではないのですから。また余計なことを書きました。失礼。
 
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