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PFCとダイビング(その2)

一つ前の日記「PFCとダイビング(その1)」の続編です。

液体呼吸(Liquid Breathing)
呼吸に適した液体の研究は、毒ガス吸入時の治療法研究の一環としてWW2後に始まった。これまた、PFCと同じく大元は軍事技術ですね。犬の肺に対し生理食塩水を使った初期の試みは失敗したが、こうした研究はWW2後の原子力潜水艦の導入に伴い再開された。大深度で運用する潜水艦は、もし深いところで運用に問題が生じた場合、乗組員は生還出来ないので、液体呼吸は乗組員を救出できる水深を増加させるために研究された。
1962年にJ.A.Kylstraと彼の同僚たちは一つの論文を発表したが、これは哺乳類が液体媒体を呼吸することが可能であることを示す研究を説明したものだった。ネズミは160atm(水面下約1,600mに相当)まで加圧された生理食塩水に浸された状態でしばらく生存できたが、結局は呼吸性アシドーシス(肺におけるガス交換が低下し体内の二酸化炭素分圧が上がり血液が酸性に傾く現象)で死んだ。これは哺乳類が液体を肺に入れたり出したりすることが困難で、最低限の換気のみが可能であることによる。従い、十分な酸素供給と二酸化炭素の除去ができる液体呼吸のためには、これらのガスを大量に運搬できる液体が必要となる。バーミンガム大のLeland C. ClarkとFrank Gollanは、小さな哺乳類ならPFCに完全に浸かった状態で1時間生きていることが出来ることを1966年に示した。 さらなる研究によると、ガス媒体中と比べ液体媒体中での健康な肺によるガス交換は正常に機能しないということが立証された。正常な肺の仕組みにとっての液体の攪乱に伴う機能障害は、液体呼吸への探求に終わりを告げた。

うーーん、そうあっさりと終わりを告げないでほしい。(笑)
とはいえ、元々肺は気体である空気を呼吸することによりガス交換する目的でデザインされている訳だから、液体呼吸はそもそも無理があるとは思います(いくらPFCがサラサラしていて分子量も小さいとはいっても、液体ならばやはり鰓のデザインが一番でしょう)。Liquid BreathingとかLiquid Ventilation(液体換気(循環?))というのをwebサイトで調べるとTotal Liquid Ventilation(TLV)とPartial Liquid Ventilation(PLV)というのがあって、TLVは文字通り肺全部を液体で満たすのですが、1回の呼吸量分の酸素分圧が調整されたPFCを肺へ送り込み、ガス交換を終えたら今度は二酸化炭素分圧が増えた同量のPFCを取り除くというのを繰り返すために複雑な装置が必要になるらしい。ということで動物実験の域を出ていない。一方、PLVは機能的残気量(Functional Residual Capacity…肺の全容量の40%くらいで、息を吐いた状態で残っている空気の量)分だけPFCを肺に送り込むというもの。詳細は分かりません(一度入れたPFCはどうするんだろうか)が、TLVに比べると現在の技術を利用できるためより現実的なようです。
いまいちもやっとしているのでWebサイトを探していると、NIHのサイトにLiquid Ventilation(液体循環)について以下のような論文が掲載されていて、なんとなく面白そうだったんですが、読む気力が残っていません。(苦笑)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3191624/
まぁ少なくとも下のSciFi映画のようにはいかないでしょうね・・・


代用血液(Blood Substitute)
貴重な血液(常に不足気味だが)を代替するという研究は現在も進行中。酸素を供給することは血液の持つ生命維持機能の一つに過ぎないが、短期的な血液の置換(これは緊急時に命を救うことが出来る)においては酸素輸送能力が主要な関心事である。PFCは1960年代初頭からそれを目的として考えられている。大気圧力下と体温という条件下でPFCには大量のガス(特に酸素と二酸化炭素)が溶け込む。血液中のヘモグロビンの酸素との結合及び解放とは異なり、PFCへの酸素の溶解は完全に不活性である(つまり化学反応しない)。PFCの乳剤を静脈内投与する際、PFCは肺の中へ高い分圧の酸素と一緒に投入され、酸素分圧の低い組織中へ酸素を解放・供給する。PFCのこうした特性が進行中の研究のテーマ。

DCS治療(Therapy for DCS
高い窒素輸送能力によって、PFCは潜水及び高気圧生理学者の注目を集めるのにそれ程時間はかからなかった。1980年代には小さな動物が減圧後すぐにPFCの静脈乳剤を受けることにより、本来であれば致命的な減圧を生き延びることが示された。この領域の進展は期待よりもゆっくりしていることが判明したが、そうした分野における知識や技術は改善が続いている。明確な答えはまだ見つかっていないが、研究は進行中。

ということで、最後のDCS治療についてはまだ続編がありますが、また今度。
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tag : HBOT PFC Perfluorocarbon 液体呼吸 代用血液 DCS

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