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SCUBAダイビングで世界記録更新@ダハブ(2014年9月)

最近幾つかのダイビング関連の海外ニュースを見ていて、Ahmed Gabr(アフメッド・ガブル)さんが先日2014年9月18日(GMTかローカルタイムか良く分かりません)にギネス記録を達成したという記事を見つけました。下の写真はその時のものです。
見ての通りメンブレーンのドライスーツ(どうもBARE社のやつっぽい)を着て(写真では分かりませんが)その下にはBAREの温かインナーをしっかり着込んでいます。まぁ、1,000ft超える水深だと、紅海とはいっても、さぞ水温も低いんでしょう。
フリーダイビングの世界だと、日本には篠宮龍三さんらがいるのもあって、国内メディアでも時々関連記事を見かけるのですが、今回のようなSCUBAだと殆ど見かけないんですよね。
AhmedGabr
どういう記録かと言うと、SCUBAダイビングによる潜水深度の世界記録で、332.35 m (1,090 ft 4.5 in) だそうです。
いやぁ、凄いです。
ご本人ももちろん凄いですが、サポートチームやスポンサーに恵まれないと(こうした人達を巻き込んでいく能力を併せ持っていないと)こうした記録はまず生まれないと思います。

先に紅海と書いてしまいましたが、正確に言うと、場所はDahb(ダハブ)という町(シナイ半島の南端に近い東海岸にある海辺の町)の沖合。アカバ湾(Gulf of Aqaba)の紅海への出口付近の海域です。
詳細はギネス(Guinness World Records)のwebサイトにもしっかり掲載されているので、公式な記録です。
そのギネスの記事には、「AHMED GABR BREAKS RECORD FOR DEEPEST SCUBA DIVE AT MORE THAN 1,000 FEET」とありまして、今までのSCUBAダイビングによる潜水深度記録を破ったとある。ではそれまでの記録はどんなかと言いますと、南アのNuno Gomesさんという方が作った 318.25 m (1,044 ft)  という記録で、これを塗り替えたと。しかも、(おそらく必然的に)同じ場所で。

Gabrさんはエジプト人で元エジプト軍の特殊部隊でレンジャーやってらしたとかで、現在はH2OTDI(Technical Diving International)のインストラクタトレーナーをやってるらしい。そのH2Oのwebサイトには今回の件についてより詳しい記事が載っています。H2OというのはDahabの所謂ダイブショップってやつで、PADIの5スターリゾートでTDI/SDI等のTecトレーニングもやっていると書いてあります。経験本数9000本って書いてありました。Wow!

潜水を開始してから水面に浮上するまで、なんと824分(14時間弱)。気が遠くなるというか、飽和潜水に近いですね(blog主はTec deepとかやったことない普通のリクリエーショナル・ダイバーにつき詳しくは分かりませんが、当然ながらそのほとんどの時間は減圧プロセスに当てられています)。で、-30mにdeco ladderの端があるところまで浮上し、そこで(カロリーや水分補給の為)サポートダイバーに漸く炭水化物とかフルーツ・野菜を混ぜた流動食を貰って食べたようなんですが、・・・、トイレはどうしたんだろう?(笑)
ドライスーツにPバルブ装着?それとも紙おむつ?
残念ながらそういうことが書いてある記事は見つけられませんでした。(笑)

Gabrさん、計画では-350mを目標としていたようなんですが、-290m辺りから震えを感じ始め(これは後述するHPNSの症状だとか)圧力が安定するまで(つまり-332.35 mで戻る決断をするまで)その症状が消えることが無かったようです。あと十数mで目標達成というところでこの決断はさすがというか。まぁ-100m以深からは単独潜水だからリスクはとれないでしょうね。緻密なダイブプランに沿って少なくとも-100m位までは自力で正しい判断力を維持しながらダイブプラン通りの手順を一つ一つ実行しなければ生きて帰れないかも知れない訳ですから。

彼のdive profileはどういうものだったかというと、潜水開始から12分で-332.35mに到達し、残り812分(824-12=812)全てが減圧プロセスというもの。記録地点から浮上を開始してから最初に出会ったサポートダイバー(Jaimie Browneさんていう、このチャレンジ用にダイブテーブルを作った人らしい)は-110mの水深で待っていて、-332.35 mから-110mまでの200m強の間はたった一人ということのようです。きっとプランBはあったろうけど、生理学的に何か変調をきたせば大変なことになっていたかも。
どういうガスを使ったかというと、-30m以深ではTrimix(He、N2、O2のmixed gas)で、なんと5本のタンクをハーネスに装着して潜ったとか。混合比率やそれと対になるダイブプラン(ダイブテーブル)は独自のもので秘密。blog主的には単なる好奇心から知りたいです。(笑) Trimixの混合比は水深範囲毎に変えガスを切り替えていたのかも不明です。が、減圧理論からすれば、予め水深毎に混合比を変えたタンクを4~5本背負って持って行き、水深を上げつつ計画に従って切り替えていくってのが当然だとは思います。少なくともO2分圧をあるレベル以下にしないとCNS中毒で逝ってしまいますから。
ただ、narcosis(昏睡)、DCSHPNSを避けるべく且つ多少のマージンも考慮してダイブテーブル、Trimix、その運用手順といったダイブプランを彼のサポートチームの中の専門家何人かが開発していったようです。
-332.35mから水面までのdeco stopは1~100分を50回、忍耐力ないとやれませんね。
彼自身は合計タンク9本を使用し(水中でサポートダイバーがタンクや器材を計画に従って回収・交換する)、サポートダイバー達(合計16名)は全部で92本を使ったという記述がありました。もちろんサポートダイバーだけじゃなくて色んなサポート環境(logisticsの専門家もチームに入ってたという話)考えると、とっても大がかりですね。お金かかりそう。

最後に、なんで記録が-332.35mという中途半端な数字なのかと言うと、ギネス側が用意した-335mのタグをエビデンスとして回収したのですが、あとでロープのたわみとか補正した結果、正確には-332.35mとしてギネスの審査員が認定したという訳。

HPNS(High Pressure Nervous Syndrome)とは、およそ-150mを超えて且つヘリウム混合ガス(TrimixとかHeriox)を使う場合に起きる可能性がある。症状は潜水中の「目まい、吐き気、嘔吐、震え、疲労感、眠気」などで、症状の強さは一般的に水深と潜行スピードに依存する。大深度で単独潜水中にこんなのになったらまともな判断力を維持できなさそうです。
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tag : TDI SCUBA ダイビング ギネス ダハブ 紅海 H2O DCS HPNS Trimix

コメント

謎が解けた!

この日記の本文で、

>トイレはどうしたんだろう?(笑)
>ドライスーツにPバルブ装着?それとも紙おむつ?

ということを書いたのですが、謎が解けました。以下の写真(右側がアフメッドさん)で、ドライスーツの左足付け根近くに注目。こ、これは・・・Pバルブではないですか(笑)
http://scoopempire.com/wp-content/uploads/2014/09/DSC_1188.jpg


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